【重要】有給消化義務は正社員もパートも退職時も対象となるルール

有給休暇は、すべての働く人に与えられた大切な権利です。しかし、実際には「有給が取りにくい」「制度がよくわからない」といった悩みを抱える人事担当者や労働者が多く存在します。

2019年に導入された「有給休暇の年5日取得義務化」により、企業には有給を“与えるだけ”でなく“取得させる”責任が課されるようになりました。正社員だけでなく、パートやアルバイトにも関係するこの制度を、正しく理解し、適切に対応することが求められています。

この記事では、有給消化義務の基本から退職時の対応、パートへの対応方法、企業がとるべき実践策までを、わかりやすく解説していきます。

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2025年12月24日

目次

1.有給休暇と有給消化義務とは?
 1.1 有給休暇は労働者の正当な権利
 1.2 有給消化義務とは年5日の取得が必要な制度
 1.3 企業には有給取得を促す義務
 1.4 有給を取得しない自由もあるが強制放棄は違法

2.誰にどのくらい有給が付与される?付与条件と日数を解説
 2.1 正社員・パート・アルバイトも条件を満たせば付与対象
 2.2 出勤率や勤続期間などの基本要件を知っておこう
 2.3 有給の付与日数は労働時間によって異なる
 2.4 有給は2年で時効を迎えるので計画的に使う必要があ

3.2019年から義務化された年5日の有給消化ルールの背景
 3.1 働き方改革の一環として制度化
 3.2 有給取得率の低さが課題となったため法律で義務化
 3.3 対象となるのは有給休暇が10日以上付与される労働者
 3.4 企業には管理記録の保存義務

4.退職時における有給消化義務の取り扱いと注意点
 4.1 退職日までに有給を使い切ることは可能
 4.2 会社側が拒否できるケースとできないケースを理解しよう
 4.3 有給の買い取りは原則不可だが例外も
 4.4 円満退職のためには事前の相談と引継ぎが大切

5.パートやアルバイトにも有給消化義務は適用されるのか
 5.1 条件を満たせば正社員と同様に義務
 5.2 有給の取得単位やタイミングの工夫が必要
 5.3 有給の申請を理由に不利益な扱いをしてはいけない

6.まとめ

1.有給休暇と有給消化義務とは

1.1 有給休暇は労働者の正当な権利

有給休暇とは、労働者が一定の条件を満たした場合に取得できる、給与が支払われる休暇のことです。労働基準法第39条により、原則として、同一の事業場で6カ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、年次有給休暇が付与されます。これは労働者の健康や生活の質を守るための基本的な権利であり、企業がこれを妨げることはできません。

1.2 有給消化義務とは年5日の取得が必要な制度

2019年4月の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与された労働者には、最低でも年5日の有給を取得させる義務が企業側に課されました。これは「有給休暇の時季指定義務」と呼ばれ、企業は労働者が自発的に取得しない場合でも、取得日を指定して有給を取得させなければなりません。目的は、有給取得率の向上と、過労による健康被害の防止です。

1.3 企業には有給取得を促す義務がある

この制度により、企業は単に有給を与えるだけでなく、「実際に使わせる」ことまでが義務となりました。違反した場合、1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があるため、適切な管理が求められます。また、取得記録を3年間保存する義務もあるため、勤怠管理体制の整備も必須です。企業は制度理解と運用の両方を行う責任を負っています。

1.4 有給を取得しない自由もあるが強制放棄は違法

一方で、労働者が自らの意思で有給を取得しない選択をすることも可能です。ただし、その意思を尊重する必要があり、企業が取得しないように圧力をかけたり、権利を放棄させるような対応を行った場合には違法となります。したがって、企業は取得を促しつつも、労働者の自主的な判断を妨げない姿勢が重要です。

このように、有給休暇の取得は「与えるだけ」では不十分で、「取得させる」ことが法律上の義務となっており、その背景には労働者の健康と働き方改革の推進という重要な目的があるのです。

2.誰にどのくらい有給が付与される?付与条件と日数を解説

2.1 正社員・パート・アルバイトも条件を満たせば付与対象

有給休暇の付与は、正社員だけでなく、一定の条件を満たせばパートやアルバイトにも認められます。労働基準法では、雇用形態に関係なく、6カ月間継続して勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤した労働者に対して有給を付与することが義務付けられています。つまり、短時間勤務であっても、週に数日勤務している労働者であれば有給が付与される可能性があるということです。これは、多様な働き方を保障しつつ、すべての労働者に公平な休暇取得の機会を提供するための制度設計です。

2.2 出勤率や勤続期間などの基本要件を知っておこう

有給休暇を取得するためには、2つの主要な条件を満たす必要があります。まず1つ目は、継続して6カ月間勤務していること。2つ目は、その6カ月の間に、全労働日の8割以上を出勤していることです。

出勤率を計算する際には、業務上のケガや病気、産休・育休など一定の理由による欠勤は出勤とみなされるため、不利にはなりません。これらの条件を満たした場合、雇用形態や契約時間にかかわらず、有給休暇が自動的に発生します。

2.3 有給の付与日数は労働時間によって異なる

有給の付与日数は、勤務年数と所定労働時間によって決まります。正社員であれば、入社から6カ月経過後に10日、その後は勤務年数に応じて最大で年間20日まで増えていきます。

一方、パートやアルバイトの場合は、週の所定労働日数や年間の所定労働時間に応じて、比例付与という仕組みが適用されます。たとえば、週3日勤務のパートには、6カ月勤務後に5日程度の有給が付与されることが一般的です。こうした細かな違いを把握し、適切に管理することが求められます。

2.4 有給は2年で時効を迎えるので計画的に使う必要

付与された有給休暇には時効があります。具体的には、付与された日から2年を経過すると、その有給は自動的に消滅してしまいます。忙しさを理由に後回しにしていると、せっかくの権利を無駄にしてしまうことになります。

また、企業側も労働者に有給を積極的に取得させないと、義務違反となるリスクがあります。そのため、企業・労働者ともに、早めの取得と計画的な消化を意識することが大切です。

3.2019年から義務化された年5日の有給消化ルールの背景

3.1 働き方改革の一環として制度化

2019年4月、政府が推進する「働き方改革関連法」の一部として、有給休暇の取得義務化が施行されました。それまで日本では、有給休暇の取得率が国際的に見ても非常に低い状況が続いており、仕事優先の文化が根強く残っていました。

これにより、労働者の健康やワークライフバランスが損なわれるという問題が顕在化していたのです。こうした背景から、法律によって企業に年5日の有給休暇取得を義務付ける制度が導入されるに至りました。

3.2 有給取得率の低さが課題となったため法律で義務化

厚生労働省の調査によると、制度導入前の有給取得率は50%程度と低水準でした。多くの企業で「有給を取ると迷惑をかける」「取得しづらい雰囲気がある」といった職場文化が障壁となっていたのです。

制度の義務化は、こうした風潮を打破し、企業として有給取得を促進する責任があるという意識を根付かせることを狙ったものです。義務化以降は徐々に取得率も上昇傾向にあり、労働環境の改善に一定の効果が見られています。

3.3 対象となるのは有給休暇が10日以上付与される労働者

この制度の対象となるのは、1年間に10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。つまり、労働時間が少ない一部のパート・アルバイトを除いて、大多数の労働者が該当します。企業は、該当する労働者一人ひとりに対し、毎年最低5日は有給休暇を取得させなければなりません。もし労働者が自ら5日以上取得していれば、それで要件を満たしますが、取得しなかった場合には企業が時季を指定して取得させる必要があります。

3.4 企業には管理記録の保存義務

制度の実効性を高めるために、企業には有給休暇の取得状況を記録し、3年間保存する義務もあります。これは、労働基準監督署などの監査時に確認される重要な資料となるため、日々の勤怠管理と連動して、確実に記録しておく必要があります。

また、取得促進のために、社内規定やシステムの整備、取得計画の策定など、企業側の積極的な取り組みが求められています。

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4.退職時における有給消化義務の取り扱いと注意点

4.1 退職日までに有給を使い切ることは可能

退職が決まった場合でも、有給休暇は労働者の権利として行使することが可能です。退職日までに有給をすべて消化したいと申し出れば、基本的には会社はこれを拒否できません。

例えば、残りの有給日数が10日ある場合、最後の出勤日以降はそのまま有給消化期間として退職日を迎えるケースが多くあります。これは法律上も認められており、「退職予定だから」といって有給の権利がなくなるわけではありません。

4.2 会社側が拒否できるケースとできないケースを理解しよう

原則として、退職時の有給消化は労働者の意思が優先されます。ただし、会社には「時季変更権」という制度があり、業務に著しい支障が出る場合に限り、有給取得時期を変更することが可能です。

しかし、退職が決まっている場合は、その後に変更できる日程がないため、実質的に時季変更権の行使は認められにくいのが実情です。業務の引継ぎなどが未完了であっても、有給の権利行使を阻む理由にはならないと判断されることが多いです。

4.3 有給の買い取りは原則不可だが例外もある

労働基準法では、年次有給休暇は「休暇として取得すること」が原則とされています。したがって、在職中に有給を金銭で買い取ることは禁止されています。

ただし、退職時に限っては、消化できなかった有給休暇について買い取りを行うことが容認されるケースがあります。たとえば、引継ぎや会社都合によりどうしても有給を使い切れなかった場合に、労使間で合意があれば買い取りが可能です。あくまで例外的な対応であり、全てのケースで適用されるわけではありません。

4.4 円満退職のためには事前の相談と引継ぎが大切

退職時の有給消化は権利とはいえ、トラブルを避けるためにも事前の相談が不可欠です。有給をまとめて取得することで業務に支障が出ないよう、上司や同僚とスムーズに連携し、引継ぎを済ませておくことが大切です。

引継ぎが曖昧なままだと、後任に負担をかけたり、会社側との関係が悪化する可能性もあります。最終的に円満な退職を実現するためには、適切な有給の使い方と誠意ある対応が求められます。

5.パートやアルバイトにも有給消化義務は適用されるのか

5.1 条件を満たせば正社員と同様の義務

有給休暇の付与や消化の義務は、正社員だけの制度ではありません。パートやアルバイトであっても、一定の要件を満たしていれば、同様に有給休暇が付与され、その取得が義務付けられます。

具体的には、継続して6カ月以上勤務し、所定労働日の8割以上出勤している労働者であれば、有給の権利が発生します。さらに、年間で10日以上の有給が付与された場合には、年5日の有給取得義務が適用されます。企業は雇用形態にかかわらず、対象者に有給を取得させる責任があるのです。

5.2 有給の取得単位やタイミングの工夫が必要

パート・アルバイトの場合、勤務日数や時間が限られているため、有給の取得単位やタイミングに柔軟性を持たせることが重要です。たとえば、週に2日勤務する従業員に対しては、年に5日間の取得を確保するために、早い段階で計画的にスケジュールを組む必要があります。

また、1日単位ではなく時間単位での取得を認める制度も活用することで、業務に支障を出さずに有給を消化しやすくなります。取得しやすい環境を整えることで、企業のコンプライアンス向上にもつながります。

5.3 有給の申請を理由に不利益な扱いはいけない

有給休暇の取得は労働者の権利であり、これを行使したことを理由に不利益な取り扱いをすることは、法律で明確に禁止されています。たとえば、有給を申請したことでシフトを減らされたり、契約更新を打ち切られるといった対応は、不当な取り扱いとして労働基準監督署への相談対象となる可能性があります。

企業は、パートやアルバイトに対しても、公平かつ適正な対応を行う必要があります。法令違反とならないよう、管理職や現場責任者への教育も欠かせません。

このように、パートやアルバイトであっても、有給休暇の取得とその義務化は正社員と変わらず適用されます。制度を正しく理解し、適切に対応することが、職場全体の信頼と生産性を高めることにつながるのです。

6.まとめ

有給休暇の消化を円滑に進めるうえで、企業側が最も効果的に取り組める手段の一つが「計画的付与制度」の活用です。これは、従業員の合意を得たうえで、あらかじめ有給取得日を会社側が計画的に指定することができる仕組みです。

特に、繁忙期を避けて閑散期にまとめて休暇を取得させることで、業務への影響を最小限に抑えつつ、法定の有給消化義務を確実に果たすことができます。制度をうまく活用することで、社員の休暇取得率も上がり、職場の満足度やモチベーション向上にもつながります。

6.2 人員の属人化を防ぎ、業務の引継ぎ体制を構築する

有給消化が進まない要因の一つに、特定の業務が一部の社員に偏ってしまう「属人化」があります。この状態では、該当社員が不在になると業務が停滞するため、有給を取りづらい雰囲気が生まれてしまいます。

こうした状況を解消するためには、業務をマニュアル化し、複数の社員で分担・共有できる体制を整えることが重要です。また、日頃から業務の引継ぎや情報共有を徹底することで、有給取得が業務に支障を与えない仕組みづくりが可能になります。

企業が有給消化義務を適切に履行するためには、制度の理解とともに、職場全体の仕組みづくりや意識改革が求められます。形だけの制度ではなく、実効性のある取り組みが必要です。

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【監修者】
  追立龍祐(Ryusuke Oitate)  社会保険労務士 沖縄県社会保険労務士会理事
  社会保険労務士法人EOS沖縄支店長 株式会社EPCS沖縄 社会保険事業責任者