36協定をわかりやすく解説!残業のルールと届け出方法を完全把握

36協定という言葉はよく耳にするけれど、実際にどんな内容で、どのように対応すればよいか自信がない。そんな悩みを抱える人事・総務担当者は少なくありません。

特に中小企業では、限られた人員で法令対応まで担う必要があるため、36協定の締結や届け出に不安を感じる場面も多いはずです。

この記事では、36協定の基礎から適用除外の注意点、締結方法、実務的な届け出の流れまでを、具体的かつわかりやすく解説します。

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2025年12月1日

目次

1.36協定とは?
 1.1 36協定の基本的な意味と背景
 1.2 法定労働時間と所定労働時間の違い
 1.3 時間外労働・休日労働の上限とは
 1.4 36協定と労使協定の違い

2.36協定を結ぶためには誰と締結すれば良いか理解しよう
 2.1 労働組合(過半数組合)と締結する条件
 2.2 過半数代表者の選び方と注意点

3.36協定には適用除外があるので注意が必要
 3.1 協定を締結できない労働者の例
 3.2 上限規制の猶予がある業種とは
 3.3 特定業務における適用除外のパターン

4.36協定の内容で特に注意すべきポイントを押さえましょう
 4.1 残業や休日労働は必要最小限にとどめる
 4.2 労働者の健康・福祉への配慮が不可欠
 4.3 業務内容を明確化し、無制限の残業を防ぐ
 4.4 特別な事情がない限り限度時間を超えない

5.36協定の届け出から更新までの流れを実務視点で解説
 5.1 届け出に必要な様式(第9号など)と記入方法
 5.2 提出先は労働基準監督署。提出のタイミングとは
 5.3 36協定は1年ごとの更新が必要である理由

6.勤怠管理システムを活用して36協定を守れる職場を目指そう
 6.1 労働時間の正確な把握でトラブル防止
 6.2 管理者と従業員の意識を変える仕組みづくり

1.36協定とは?

1.1 36協定の基本的な意味と背景

働く現場でしばしば耳にする「36協定(さぶろくきょうてい)」という言葉。これは労働者に法定労働時間を超えて働いてもらうために、企業が必ず結ばなければならない労使協定のことです。

日本の労働基準法では、原則として1日8時間、週40時間までが労働時間の上限とされています。しかし、繁忙期などでそれを超える労働が必要な場合、この36協定がなければ違法となってしまいます。つまり、36協定は企業と労働者の間で「時間外労働をしてもいい」と合意するための法的な土台なのです。

この名称の「36」は、労働基準法第36条に由来しています。企業がこの協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで、はじめて法的に残業や休日労働を命じることができます。

1.2 法定労働時間と所定労働時間の違い

36協定を理解するうえで、「法定労働時間」「所定労働時間」の違いも押さえておく必要があります。

法定労働時間とは、先ほども触れた通り、法律で定められた労働時間の上限です。一方、所定労働時間は企業ごとに定める勤務時間のこと。たとえば、法定では1日8時間が上限でも、会社の就業規則で「1日7時間勤務」となっていれば、それが所定労働時間になります。

この違いを理解しておかないと、「うちの会社は7時間勤務だから、1時間残業しても法に触れない」と誤解するケースが出てきます。しかし実際には、1日8時間を超えなければ法定外労働ではなくても、36協定が必要になる場面もあるため注意が必要です。

1.3 時間外労働・休日労働の上限とは

36協定を締結すれば無制限に残業させられるわけではありません。協定には明確な「上限時間」が定められており、これを超える労働は原則として禁止されています。通常の協定では、月45時間・年360時間が上限です。さらに特別条項を設けたとしても、年720時間、複数月平均80時間以内など、さまざまな条件が付きます。

休日労働についても注意が必要で、週1回以上の休日を確保する義務があるため、連続勤務や過剰な休日出勤は違法となる恐れがあります。つまり、36協定は単なる手続きではなく、労働者の健康を守るための法的な「安全装置」でもあるのです。

1.4 36協定と労使協定の違い

36協定も労使協定の一つですが、実は「労使協定」という言葉にはもっと広い意味があります。賃金の支払い方法や休憩時間の取り方など、さまざまな労働条件について労使で結ぶ協定全般を指します。その中で、36協定は特に「時間外・休日労働」に関するものとして、法律上も届け出義務がある点で他の労使協定とは異なります。

企業側としては、単なる書面上の形式にとどまらず、内容をしっかり理解し、労働者の理解と同意を得ることが重要です。特に働き方改革が進む中、36協定の内容に無関心ではいられません。適切な理解と運用こそが、企業の信頼性と持続可能な労務管理の鍵となります。

2.36協定を結ぶためには誰と締結すれば良いか理解しよう

2.1 労働組合(過半数組合)と締結する条件

36協定を結ぶ際、まず必要なのが「労働者の代表」との合意です。その代表が労働組合である場合、「過半数組合」である必要があります。これは、企業内で働く正社員・契約社員・パート・アルバイトなどを含めた全労働者のうち、過半数が加入している労働組合のことを指します。過半数組合は、法的に労働者の代表権限を持つため、会社と36協定を結ぶ正当な相手として認められています。

たとえば、従業員100人の会社で60人がA労働組合に加入している場合、A組合が過半数組合となります。会社はこのA組合と協議し、合意を得たうえで協定書を作成・提出すれば、36協定は有効となります。

重要なのは、単に組合があるというだけでなく、実際に「過半数以上」が加入しているかどうかを確認することです。過半数を下回っている組合と協定を結んでも、その36協定は無効となる可能性があります。

2.2 過半数代表者の選び方と注意点

労働組合が存在しない、もしくは過半数組合に該当しない場合は、「過半数代表者」と呼ばれる人物と36協定を結ぶことになります。過半数代表者は、全労働者の過半数から選出された信任のある人物である必要があります。

代表者の選出方法としては、立候補・推薦・無記名投票など、公平で透明な手続きを通じて選ばれる必要があります。また、選出結果については文書などで記録し、必要に応じて労働基準監督署に提出できるようにしておくことが望ましいです。

過半数代表者と締結した協定も、労働基準法に基づいて正しく届け出を行うことで効力が生じます。ただし、仮に代表者の選出手続きに問題があった場合、協定そのものが無効になるリスクもあるため、手続きには細心の注意を払うべきです。

会社としては、「誰と結ぶか」を正確に理解し、形式ではなく実質を重視した適切な手続きが求められます。36協定は、単なる届出書類ではなく、企業と労働者の信頼関係を支える重要な合意文書であることを忘れてはいけません。

3.36協定には適用除外があるので注意が必要

3.1 協定を締結できない労働者の例

36協定は、すべての労働者に一律に適用されるわけではありません。法令上、36協定の締結対象外となる労働者も存在します。たとえば、管理監督者と呼ばれる部長や工場長など、経営方針の決定や労務管理に大きな裁量を持つ立場の人たちは、労働時間規制の対象外とされており、原則として36協定の枠組みには含まれません。

また、裁量労働制が適用されている労働者も、勤務時間が事前に定められておらず、実際の労働時間とは関係なく賃金が支払われるため、36協定による時間外労働の制限が適用されないケースがあります。ただし、これらの制度を適用するには適切な手続きと要件が必要であり、誤って制度を適用すると労基法違反に問われるリスクもあります。

したがって、誰が36協定の対象で誰が除外されるのかを正確に把握しておくことが、企業にとっては非常に重要なポイントです。

3.2 上限規制の猶予がある業種とは

2019年の働き方改革関連法の施行により、36協定における時間外労働の上限が明確化されましたが、一部の業種についてはこの上限規制が猶予されていました。具体的には、建設業、自動車運転業務、医師、研究開発職などが対象となっており、これらの業種では長時間労働が避けられないという業界特性を考慮し、上限規制の適用を一時的に見送っていました。

しかし、猶予は無期限ではなく、たとえば建設業と運送業は2024年4月から、医師は2024年4月または2025年から段階的に上限規制が導入されています。このように、例外的な扱いであっても将来的には他業種と同様の規制が適用されることになるため、対象業種の企業は準備を怠らないことが求められます。

3.3 特定業務における適用除外のパターン

36協定には、業種ではなく業務の内容によって適用除外となる場合もあります。たとえば、災害時の緊急対応や突発的なトラブルへの対処など、企業の存続や安全に直結するような業務については、法定の労働時間を超えて労働を命じることが認められています。

しかしこれも、常に無制限に残業させられるというわけではありません。協定書には「特別条項」として、そうした非常時に対応する旨とその上限時間、対応措置を明記しておく必要があります。さらに、該当業務が頻繁に発生するようであれば、それは特例の乱用とみなされ、労働基準監督署から是正勧告を受ける恐れもあります。

このように、36協定には一部除外や猶予が認められているケースがありますが、いずれも正しい理解と適用が求められます。企業が「うちは例外だから大丈夫」と思い込んで誤った運用をしてしまうと、後に重大な法的トラブルへと発展しかねません。法令の変化を常に把握し、自社の業務に照らして適切な対応を心がけましょう。

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4.36協定の内容で特に注意すべきポイントを押さえましょう

4.1 残業や休日労働は必要最小限にとどめる

36協定を締結したからといって、無制限に残業や休日出勤をさせて良いわけではありません。法律上の上限を守るのはもちろんのこと、それ以前に企業としては「残業は本当に必要なのか」を常に見直す姿勢が求められます。協定に基づく時間外労働は、あくまで例外的な措置であり、日常的に多くの残業が発生している職場は、業務の見直しや人員体制の改善が必要といえるでしょう。

特に注意したいのが、「協定を結んでいるから大丈夫」と思い込み、残業が常態化するケースです。これは従業員のモチベーションや健康を損なうだけでなく、生産性の低下や離職の増加といった悪影響ももたらします。協定があるからこそ、その運用には慎重な判断と責任ある対応が求められるのです。

4.2 労働者の健康・福祉への配慮が不可欠

時間外労働が発生する際には、労働者の健康への影響を必ず考慮する必要があります。長時間労働は、過労による健康障害やメンタルヘルス不調の原因にもなり得るため、企業には健康・福祉の観点からも配慮が求められます。

たとえば、特別条項付きの36協定では、月100時間未満、複数月平均で80時間以内などの制限が設けられていますが、これらを満たしていれば安全というわけではありません。36協定の届出の際には、健康確保措置として「医師による面接指導」や「労働時間の把握と通知」といった具体策も記載が必要になります。これらは形だけでなく、実際に機能していることが重要です。

職場全体で過重労働を防ぐ意識を持ち、定期的に労働時間や業務負荷の見直しを行うことが、結果として健全で持続可能な職場環境の構築につながります。

4.3 業務内容を明確化し、無制限の残業を防ぐ

36協定には、時間外労働や休日労働を行わせる業務の範囲を具体的に記載する必要があります。これは、従業員に対して「どのような場合に残業が発生するのか」を明確に伝えると同時に、会社側が無制限に残業を命じることができないよう制限を設ける意味があります。

たとえば「納期の逼迫による製造作業」や「トラブル対応のためのシステム保守作業」など、業務内容を具体的に書くことで、必要な範囲内でのみ時間外労働が許容されるようになります。

業務の範囲をあらかじめ明確にし、従業員と合意したうえで協定を運用することで、職場の信頼関係を高めるとともに、トラブルの防止にもつながります。

4.4 特別な事情がない限り限度時間を超えない

特別条項を設けていたとしても、その適用はあくまで「特別な事情があるとき」に限られます。具体的には、突発的なトラブル対応や、納期変更による急な業務量の増加など、通常では予見できなかった事態に対応するためのものです。

そのため、毎月のように特別条項を発動して長時間労働をさせている場合、労働基準監督署から「特別条項の濫用」と判断され、是正指導を受ける可能性もあります。適用の際は、社内で記録を残し、その理由を明確に説明できるようにしておくことが大切です。

5.36協定の届け出から更新までの流れを実務視点で解説

5.1 届け出に必要な様式(第9号など)と記入方法

36協定を締結しただけでは、まだ法的な効力は発生しません。労働基準監督署に正しく届け出ることではじめて、時間外労働や休日労働を命じることが可能になります。ここで使用するのが「36協定届(様式第9号)」です。

この届出書は、厚生労働省のWebサイトなどから入手可能で、最近では新様式に統一されています。記入内容は、「協定の対象となる労働者の範囲」「時間外・休日労働の上限」「業務の内容」「協定の有効期間」「締結した労働者側の代表の氏名・選出方法」などが含まれます。特別条項を設ける場合は、別紙で「特別条項の内容」「上限時間」「健康確保措置」などを詳細に記載する必要があります。

記載ミスや記入漏れがあると、差し戻されることもあるため、内容をしっかりと確認してから提出しましょう。

5.2 提出先は労働基準監督署。提出のタイミングとは

完成した36協定届は、事業所を管轄する労働基準監督署に提出します。提出は、原則として協定を締結した日からすみやかに行う必要があります。提出方法は、直接持参するほか、郵送や電子申請(e-Gov)も可能です。近年は電子申請の利用が広がっており、手続きの効率化が図られています。

提出期限については、「時間外・休日労働を開始する前まで」に届け出る必要がある点に注意が必要です。届け出が間に合わないと、残業命令が無効となり、法令違反となるおそれがあります。また、特別条項付き協定を提出する場合には、その内容が明確であることが特に求められます。

法的トラブルを避けるためにも、締結から提出までのスケジュール管理は徹底しましょう。

5.3 36協定は1年ごとの更新が必要である理由

36協定には有効期間が定められており、多くの企業では「1年間」として運用されています。この有効期間が過ぎると、自動的に効力が失われるため、継続して時間外労働をさせたい場合は、あらためて協定を締結し、届け出を行う必要があります。

更新の際には、前回と同じ内容をそのまま使うのではなく、労働時間の実態や業務の変化、法改正の有無を確認し、必要に応じて見直しを行うことが重要です。特に、特別条項付き協定を結んでいる企業では、労働時間の推移や健康確保措置の効果についても振り返り、適切に改善する姿勢が求められます。

また、更新した協定内容については、従業員への周知も義務づけられています。書面や掲示、イントラネットなどを通じて全員が確認できるようにし、透明性のある運用を心がけましょう。

6.勤怠管理システムを活用して36協定を守れる職場を目指そう

6.1 労働時間の正確な把握でトラブル防止

36協定を適切に運用するには、労働時間の正確な把握が欠かせません。協定では、時間外労働や休日労働の上限を明確に定める必要がありますが、現場で実際に労働者が何時間働いているかを正確に把握していなければ、その上限を守ることはできません。

多くの職場ではタイムカードや手書きの出勤簿を使ってきましたが、こうした方法では集計ミスや記録の不備が起こりやすく、法令違反が発覚した際のリスクが高まります。そこで導入が進んでいるのが「勤怠管理システム」です。これにより、出退勤の時間が自動で記録され、リアルタイムで集計・分析が可能になります。

特に、月45時間を超える残業が発生しそうなタイミングでアラートが出る機能や、特別条項の運用回数をチェックできる機能があると、企業のコンプライアンスを強化するうえで非常に有効です。

6.2 管理者と従業員の意識を変える仕組みづくり

システム導入の効果は、単なる記録の自動化だけにとどまりません。日々の勤怠が「見える化」されることで、管理者も従業員も「自分たちの労働時間はどうなっているのか」という意識が自然と高まります。これは、無意識のうちに長時間働いてしまうような風土を改善するきっかけにもなります。

また、労働時間の傾向を分析することで、部署ごとの負担の偏りや、特定業務における業務過多を発見することもできます。例えば、ある部署だけが毎月上限ギリギリまで残業していることがわかれば、業務の再配分や人員配置の見直しを行う材料になります。

一方で、勤怠管理システムの導入だけでは職場改善は進みません。記録されたデータをどう活用するかが重要であり、そのためには現場の管理職に対する教育や、従業員への制度の説明と納得感の醸成が必要です。

働き方改革の流れの中で、36協定を守るということは単なる法令順守にとどまらず、企業文化の改善にもつながる重要な取り組みです。勤怠管理システムはその第一歩として、企業の体質改善を後押しする強力なツールとなるでしょう。

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【監修者】
  追立龍祐(Ryusuke Oitate)  社会保険労務士 沖縄県社会保険労務士会理事
  社会保険労務士法人EOS沖縄支店長 株式会社EPCS沖縄 社会保険事業責任者