2026年2月20日
製造業をはじめとする中小企業にとって、新しい設備導入やサービスの高度化は競争力を高めるうえで欠かせない課題です。
しかし、それに伴う資金負担が大きな障壁となることも少なくありません。そんなとき、活用したいのが「ものづくり補助金」です。
この記事では、令和8年度の最新情報をもとに、補助金制度の概要から申請方法、採択率を高めるポイントまでをわかりやすく解説します。個人事業主や小規模事業者でも活用できる制度の全体像を、ぜひここで把握してください。
目次
1.ものづくり補助金とは?
1.1 目的と背景:中小企業支援と生産性向上
1.2 補助対象となる企業・事業の範囲
1.3 補助率と上限額の概要
2.令和8年度のものづくり補助金はどう変わるのか
2.1 過去との違いと強化された支援内容
2.2 注目の「グローバル枠」と「高付加価値化枠」
3.ものづくり補助金の申請から採択までの流れ
3.1 公募スケジュールと提出書類一覧
3.2 採択を得るための申請書作成のポイント
3.3 不正受給防止のための注意点
4.採択率を高めるために押さえておくべき基本要件
4.1 労働環境や賃上げに関する要件
4.2 加点項目と減点リスクについて
5.個人事業主や小規模事業者でも申請できるのか?
6.まとめ
1.ものづくり補助金とは?
1.1 目的と背景:中小企業支援と生産性向上
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が行う革新的な設備投資やサービス開発を支援するための制度です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、経済産業省の管轄のもと、中小企業庁が実施しています。目的は、単なる資金援助ではなく、技術力や業務効率を高める取り組みを後押しし、日本経済全体の生産性向上に寄与することです。
近年では、デジタル技術の導入、省力化設備への投資、海外展開を目指すプロジェクトなど、業種を問わず幅広い用途に対応しています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素といった社会的要請に応えるテーマでの申請が増えています。
1.2 補助対象となる企業・事業の範囲
この補助金の対象となるのは、主に日本国内に本社を持つ中小企業・小規模事業者です。製造業だけでなく、商業、サービス業も対象に含まれており、事業の分野は多岐にわたります。ただし、事業内容が「革新性」や「付加価値向上」に貢献していることが必須で、単なる既存業務の延長や消耗品購入などは対象外となります。
また、法人格の有無に関係なく、個人事業主も条件を満たせば申請可能です。要件としては、計画的に事業を行っていること、経営改善につながる明確な目的があることが求められます。さらに、労働関係法令を遵守していることや、賃上げ・雇用維持に関する要件も重視されます。
1.3 補助率と上限額の概要
補助金額は申請内容や枠によって異なりますが、一般型では100万円〜1,250万円程度が上限となるケースが多いです。補助率は原則として2/3(中小企業の場合)ですが、大企業に準じる規模や条件により1/2になることもあります。特定の加点要件や優遇枠(例:グローバル展開枠や大幅賃上げ枠)に該当する場合は、補助上限が引き上げられることもあります。
金額の大きさに目が行きがちですが、最も大切なのは「その補助金を活用して、どんな価値を生むのか」です。審査でも、単にお金を使う計画ではなく、成果が明確に期待できるかどうかが重要なポイントになります。
2.令和8年度のものづくり補助金はどう変わるのか
2.1 過去との違いと強化された支援内容
令和8年度のものづくり補助金は、これまで以上に中小企業の成長と変革を後押しする内容へと進化しています。特に注目すべきは、「事業の革新性」や「社会的課題への対応」に対する支援の拡充です。これまでの制度では、生産性向上やコスト削減といった内部改善が主な目的でしたが、令和8年度からは、デジタル化、脱炭素化、地域貢献といった外部へのインパクトにも重点が置かれています。
たとえば、新たに「GX(グリーントランスフォーメーション)対応型」の加点制度が設けられ、カーボンニュートラルに資する投資が優遇されるようになりました。これにより、環境負荷の少ない生産プロセスや、省エネルギー型設備の導入が評価されやすくなっています。また、「人材育成」や「働きやすい職場環境づくり」への取り組みに対しても、積極的に支援が行われます。
制度としては複雑化しているように見えますが、その分、国の支援姿勢が明確になっており、戦略的に申請すれば大きなチャンスとなるのが令和8年度の特徴です。
2.2 注目の「グローバル枠」と「高付加価値化枠」
令和8年度では、特別枠として「グローバル枠」と「製品・サービス高付加価値化枠」が大きく注目されています。グローバル枠は、海外展開を視野に入れた企業向けの支援で、海外での販路開拓や現地生産設備の導入などが対象です。特に輸出に挑戦したい企業にとっては、補助率・補助上限ともに優遇されるため、事業拡大の追い風となるでしょう。
一方、「高付加価値化枠」は、既存製品やサービスに革新を加える取り組みを対象とし、新市場の開拓や価格競争力の強化を目的とした事業に向いています。AIやIoTを活用した自動化、無人化技術の導入など、業界問わず多様な分野での活用が期待されています。
このように、単に「古い設備の入れ替え」にとどまらず、将来性のある取り組みが評価されるようになっているのが、今回の制度変更の大きなポイントです。企業が今後どの方向に進みたいかを明確にし、それに合った枠を選ぶことが、採択率を高めるカギとなります。
3.ものづくり補助金の申請から採択までの流れ

3.1 公募スケジュールと提出書類一覧
ものづくり補助金の申請は、毎年数回の公募期間に分けて行われます。最新の令和8年度では、年に3〜4回の締切が予定されており、それぞれの期間ごとに申請受付から審査、採択発表までのスケジュールが組まれています。スケジュールをしっかりと把握することが、準備不足によるミスを防ぐ第一歩です。
申請に必要な書類は、事業計画書、会社概要、決算書、設備投資の見積書などが基本となります。特に事業計画書は審査の核心部分であり、「補助金を使って何を実現するのか」「どのような効果が期待できるか」を明確に記載しなければなりません。加えて、労働条件の改善や環境対策などの加点要素に関する証明書類も忘れずに準備しましょう。
申請は電子申請(「Jグランツ」など)で行うのが基本です。紙での提出は原則として受け付けられていないため、IT環境の整備も事前に行っておく必要があります。
3.2 採択を得るための申請書作成のポイント
申請書を作成する際に最も大切なのは、「審査員に伝わる」構成です。専門用語ばかりを並べるのではなく、誰が読んでもわかるように論理的かつ簡潔にまとめることが求められます。事業の新規性、実現可能性、地域や業界への波及効果を数字や事例を交えて説明できれば、説得力が増します。
また、単に機械を導入したいという内容ではなく、「なぜ今それが必要なのか」「導入後にどのような成果が出るのか」を示すことが不可欠です。審査では、「成果の見込み」「費用対効果」「事業者の本気度」が重要視されます。採択率の高い申請者は、この3点を的確にアピールできています。
中小企業診断士や支援機関と連携して申請書をブラッシュアップするのも有効な手段です。第三者の視点を取り入れることで、内容の不備や分かりにくさを事前に解消できます。
3.3 不正受給防止のための注意点
補助金を申請・受給する際には、ルールを守ることが絶対条件です。不正受給とみなされる例としては、実際には使っていない費用を申告したり、補助金を私的に流用したりするケースが挙げられます。もし発覚した場合は、全額返還に加えて、今後の補助金申請が一切できなくなる可能性もあります。
特に最近では、事後検査や実地調査が強化されており、帳簿や領収書の整備が求められます。「あとで整えればいい」では通用しません。補助事業の進捗管理も含め、適切な記録を日々取ることが信頼を得る鍵となります。
4.採択率を高めるために押さえておくべき基本要件
4.1 労働環境や賃上げに関する要件
ものづくり補助金の採択を目指すには、基本要件を確実に満たすことが前提です。特に近年は、労働環境の整備や賃金向上といった社会的責任に関する要件が重視されています。令和8年度では、「従業員の賃上げ」を計画に盛り込むことが補助金交付の必須条件となっており、具体的な数値目標を明示する必要があります。
たとえば、「年率平均3%以上の賃上げ」や「地域別最低賃金+30円以上を支給」など、明確な基準が設けられており、これに従わないと申請の段階で不備と見なされる可能性があります。また、育児や介護といった働き方の多様性にも配慮する姿勢が求められ、労働時間の短縮や有給休暇取得の推進なども評価の対象です。
単に補助金を得ることだけを目的とするのではなく、企業としての社会的信頼性を高める取り組みが、採択への近道になるという点を忘れてはなりません。
4.2 加点項目と減点リスクについて
補助金の申請では、必須条件を満たすことに加え、「加点項目」を意識することで採択率をさらに高めることが可能です。たとえば、「新規輸出1万者支援プログラム」への登録、「GX対応型の取り組み」、地域未来投資促進法に基づく計画認定などは、いずれも加点対象です。これらの制度と連携して事業を設計することで、他の申請者との差別化が図れます。
一方で、注意しなければならないのが「減点リスク」です。過去に補助金の不正受給や報告義務の怠慢がある企業は、大きなマイナスポイントとなります。また、事業計画の実現性が低いと判断された場合や、事業目的が曖昧であった場合も採択の可能性が大きく下がります。
採択されやすい企業は、必須条件だけでなく加点要素を積極的に取り入れ、かつ不安要素を事前に排除しています。自社の課題や現状を正しく理解し、戦略的に申請内容を整えることが重要です。
5.個人事業主や小規模事業者でも申請できるのか?
ものづくり補助金は中小企業向けの制度として知られていますが、実際には個人事業主や従業員数がごく少ない小規模事業者でも申請可能です。この点については、多くの事業者が誤解しており、「法人でなければ申請できないのでは」といった質問をよく耳にします。しかし、実際には一定の条件を満たしていれば、個人事業主でも採択されるケースは数多く存在します。
申請時の注意点としては、決算書の代わりに確定申告書の提出が必要になる場合や、計画の根拠をより具体的に示す必要がある点が挙げられます。事業の継続性や収益性に対する審査が法人よりもやや厳しくなる傾向もありますが、しっかりと準備すれば不利にはなりません。
6.まとめ
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主が成長を加速させるための強力な支援制度です。新しい設備の導入、サービスの高付加価値化、グローバル展開といったチャレンジを後押ししてくれる一方で、申請や実行には明確なルールと高い計画性が求められます。制度の概要を正しく理解し、要件を丁寧に押さえることが成功への第一歩です。
令和8年度の制度では、賃上げ要件や環境対応、働き方改革などの社会的テーマが重視されており、これまで以上に「社会的価値を持った事業計画」であることが求められています。単に事業者の利益向上を目指すのではなく、地域社会や産業全体への波及効果があるかどうかが問われる時代です。
採択率を高めるためには、基本要件をしっかり満たしたうえで、加点項目を積極的に取り入れることがカギとなります。グローバル枠や高付加価値化枠といった選択肢を活用することで、補助上限や採択評価に有利な条件が整えられます。また、申請書は客観的で説得力のある内容に仕上げることが重要です。
補助金は「もらって終わり」ではありません。事業実施後の報告や、導入設備の適正な管理、不正受給の防止といった責任も伴います。しかしそれを乗り越えてこそ、企業としての信用が築かれ、継続的な成長に繋がります。
制度は年ごとに細かな改正がありますが、正しい情報を早めに入手し、綿密な準備を進めることで、たとえ小規模な事業者であっても十分に活用可能です。ものづくり補助金は、資金面の支援だけでなく、自社の未来を見つめ直すきっかけにもなります。この機会を通じて、自社の可能性を広げる第一歩を踏み出しましょう。
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お問い合わせ–株式会社EPCS沖縄
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