建設業許可の経営管理責任者(経管)の要件を徹底解説!証明方法から緩和改正まで完全網羅

2026年7月15日

建設業許可を取得したい事業者にとって、最大の壁となるのが「経営業務管理責任者(経管)」の設置です。一定の経営経験を持つ人物を常勤で配置できなければ、許可は下りません。しかし「自分の経験で要件を満たせるのか」「どんな書類で証明するのか」と悩む方は非常に多いのが現実です。本記事では、経管に必要な要件を法令ベースで整理し、改正による緩和ポイント、個人事業主や執行役員の扱い、証明資料の集め方まで具体的に解説します。これから許可申請を考えている方はもちろん、更新や代替わりを控える方も、自社の体制を見直す判断材料としてご活用ください。

目次

1.建設業許可における経営管理責任者(経管)とは何か

2.経営管理責任者の要件を満たすために必要な経験年数と立場
2.1 法人の役員・取締役としての経営経験
2.2 個人事業主としての経営経験

3.経営管理責任者に求められる常勤性と兼任のルール

4.経管要件を証明するために必要な確認資料と書類
4.1 経営経験を裏付ける主な書類
4.2 常勤性を証明するための資料

5.法改正による経営管理責任者の要件緩和のポイント

6.申請でつまずかないための実務的な注意点
6.1 補佐経験や執行役員経験の取扱い
6.2 建設業許可の経営管理責任者の要件まとめ

1.建設業許可における経営管理責任者(経管)とは何か

建設業許可を取得するうえで、必ず設置しなければならないのが「経営業務管理責任者」、通称「経管」です。これは建設業の経営を適切に行える人物を会社内に必ず1名置くという制度で、建設業法第7条で定められた重要な許可要件です。

なぜこの制度があるのかというと、建設業は工期が長く、請負金額も大きい特殊な業種だからです。資金繰りや工程管理、下請との契約調整など、一般的な企業経営とは異なる判断力が求められます。そのため、過去に建設業の経営に携わった経験を持つ人物が、会社の舵取りに関与していることを法律で求めているのです。

具体的には、法人であれば常勤の取締役、個人事業主であれば事業主本人またはその支配人が、経管として認められる対象となります。単なる役職名ではなく、実際に経営判断に関与してきたかどうかが厳しく問われます。たとえば、取締役という肩書きがあっても、名目だけで実務に関わっていなかった場合、経験として認められないケースも珍しくありません。

また、経管は1社につき1名以上必要で、専任技術者と兼任することは可能ですが、複数の会社で同時に経管になることは原則できません。常勤性が厳格に求められるためです。許可申請の場面では、この経管の存在こそが審査の核心となります。経管がいなければ、どれだけ技術者が揃っていても、財産的基礎を満たしていても許可は下りません。まずは自社にこの要件を満たす人物がいるかを確認することが、建設業許可取得の第一歩となります。

2.経営管理責任者の要件を満たすために必要な経験年数と立場

経営管理責任者として認められるには、一定期間以上の経営経験が必要です。改正前は「許可業種で5年、他業種で6年」という区分がありましたが、現在は原則として「建設業に関する経営業務を5年以上経験していること」が基本ラインとなっています。

ここで重要なのは、経験の「年数」だけでなく「立場」も問われる点です。単に建設会社に勤めていただけでは不十分で、経営に関する意思決定に関与できる地位にあったことが条件となります。以下で、立場別の要件を整理します。

2.1 法人の役員・取締役としての経営経験

法人の場合、登記された取締役として5年以上、建設業を営む会社で経営に従事していた経験が必要です。代表取締役だけでなく、平取締役でも対象となりますが、監査役は経営に直接関与しないため認められません。

商業登記簿謄本で在任期間を確認し、その期間中に会社が建設業を営んでいたことを工事契約書や請求書などで裏付けます。たとえば、平成30年4月から令和5年3月まで建設会社の取締役だった方は、ちょうど5年の経験として認められる可能性が高いです。ただし、登記が抜けている期間があると要件を満たせないので注意が必要です。

2.2 個人事業主としての経営経験

個人事業主として建設業を営んでいた場合も、5年以上の経験があれば経管として認められます。証明には、確定申告書の控え(5年分)と、各年度の工事請負契約書や注文書などが必要です。

ここで意外と多いトラブルが、確定申告書の保管不足です。税務署の収受印がない控えや、電子申告の受信通知がないと証明力が弱くなります。これから独立予定で将来許可を取りたい方は、申告書類を確実に保管しておくことを強くおすすめします。

3.経営管理責任者に求められる常勤性と兼任のルール

経管に必要なもう一つの大きな要件が「常勤性」です。常勤とは、その会社の事務所に毎日通勤し、原則として他の仕事に従事していない状態を指します。経営経験の年数を満たしていても、常勤でなければ経管としては認められません。

常勤性が問われる理由は、建設業の経営判断は日々発生するため、形式的に名前を貸すだけの人物では役割を果たせないからです。実際の審査では、健康保険証(事業所名が記載されたもの)、住民税の特別徴収の状況、賃金台帳など、複数の角度から在籍実態が確認されます。

兼任については、いくつかのルールを押さえておく必要があります。まず、同じ会社内であれば「専任技術者」との兼任は可能です。小規模な建設会社では、社長一人が経管と専任技術者を兼ねるケースが一般的です。一方で、複数の会社で経管を兼ねることは原則として認められません。A社で常勤の経管である人物が、B社の経管にもなることはできないのです。

注意したいのが、他社の役員を兼ねている場合の取り扱いです。たとえば、自社の経管候補者が他のグループ会社の取締役にも就任している場合、その他社で報酬を受け取っていたり、頻繁に勤務している実態があれば、自社での常勤性が否定される可能性があります。

また、住所と勤務地が極端に離れている場合(片道2時間以上など)も、常勤性に疑義を持たれることがあります。許可行政庁によっては、通勤経路や通勤手段の説明を求められるケースもあるため、現実的に通える距離に住んでいるかも考慮が必要です。形式と実態の両面で常勤を満たしているか、事前に確認しておきましょう。

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4.経管要件を証明するために必要な確認資料と書類

経管の要件は、書類で客観的に証明できなければ意味がありません。「実際には5年以上経験している」と口頭で説明しても、行政庁は認めてくれません。ここでは、証明に必要な書類を経験の証明と常勤性の証明に分けて解説します。

4.1 経営経験を裏付ける主な書類

経営経験を証明するには、「その期間その会社の役員等であったこと」と「その期間その会社が建設業を営んでいたこと」の2点を示す必要があります。

法人の役員経験を証明する場合、商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書、閉鎖事項証明書)が中心資料となります。在任期間が明確に記載されているため、5年以上の連続性を示せます。あわせて、その期間中の建設工事の請負契約書、注文書、請求書、入金記録などを年度ごとに準備します。一般的には、各年につき1〜2件の工事資料があれば足ります。

個人事業主の場合は、確定申告書5年分(税務署の受付印または受信通知付き)と、工事関係書類が必要です。建設業の事業所得として申告していることが前提なので、副業的に申告していた場合は認められないこともあります。

4.2 常勤性を証明するための資料

常勤性の証明には、健康保険被保険者証の写し(事業所名が記載されているもの)が最もよく使われます。協会けんぽや健康保険組合に加入していれば、保険証で勤務先と在籍が一目でわかります。

国民健康保険の場合は保険証だけでは不十分なので、住民税特別徴収税額通知書、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書などを組み合わせて提出します。役員の場合は報酬支払明細や役員報酬の支給がわかる議事録なども有効です。

書類の抜け漏れは申請却下の最大の原因です。早めに準備リストを作り、不足分は再発行を依頼するなど計画的に進めましょう。

5.法改正による経営管理責任者の要件緩和のポイント

令和2年10月の建設業法改正により、経管の要件は大きく見直されました。それまで申請のハードルとなっていた「許可業種で5年、他業種で6年」という業種別の区分が撤廃され、原則として「建設業に関する経営経験5年以上」に統一されたのです。

さらに大きな変化として、「経営管理体制」という新しい考え方が導入されました。これは、経管個人だけでなく、組織として経営管理能力を備えていれば要件を満たせるとする柔軟な仕組みです。具体的には、「建設業の役員等の経験が2年以上あり、かつ財務管理・労務管理・業務運営の経験を5年以上有する者」を補佐する人材を組み合わせる方法が認められるようになりました。

この緩和により、これまで「経験5年に満たない後継者しかいない」「先代が引退して経管不在になる」といったケースでも、補佐人材を組み合わせることで許可を維持できる可能性が広がりました。事業承継に悩む中小建設業者にとっては大きな前進です。

ただし、緩和されたとはいえ要件は依然として厳しく、補佐者の経験についても客観的な証明資料が必要です。労務管理の経験であれば、人事担当としての辞令や組織図、給与計算に関わった記録などが求められます。財務管理であれば、経理責任者としての立場を示す書類が必要です。

また、執行役員として経営に関与していた経験についても、一定の条件下で認められる道が開かれました。取締役登記がなくても、取締役会の決議で経営権限を委譲されていたことが議事録等で示せれば、経管としての経験に算入できる場合があります。緩和を活用するには、自社の人材構成と過去の経歴を整理し、申請窓口に事前相談することが近道です。

6.申請でつまずかないための実務的な注意点

経管の要件を理解しても、実際の申請段階でつまずく事業者は少なくありません。ここでは、現場でよく見られる落とし穴と対策を紹介します。

6.1 補佐経験や執行役員経験の取扱い

補佐経験や執行役員経験は、登記簿に名前が出ない分、証明のハードルが高くなります。執行役員経験を主張する場合、取締役会議事録、業務分掌規程、執行役員規程、稟議書など、権限委譲の実態がわかる書類を網羅的に揃える必要があります。

「自分は事実上経営をしていた」という主観的な主張だけでは通りません。逆に言えば、書類さえ揃えば認められる可能性は十分あります。退職前の会社から書類の写しをもらえる関係性を保っておくことが重要です。

補佐経験についても同様で、職務分掌表や担当業務の発令通知などを保管しておきましょう。前職の協力が得られない場合に備え、在職中から自分のキャリアの裏付け資料を手元に残しておくことが、将来の独立や許可取得に役立ちます。

6.2 建設業許可の経営管理責任者の要件まとめ

建設業許可の経営管理責任者の要件は、5年以上の経営経験と常勤性が柱です。法人の役員、個人事業主、執行役員、補佐者など、立場によって必要書類が異なるため、自分のキャリアに合った証明方法を選ぶことが重要です。法改正による緩和で選択肢は広がりましたが、書類による客観的な証明が求められる点は変わりません。

まずは自社の人材を棚卸しし、誰が経管になれるかを整理しましょう。経験年数が不足する場合は、補佐者との組み合わせも検討の余地があります。証明書類は早めに収集し、不明点は許可行政庁や行政書士に相談することで、申請手続きはぐっとスムーズになります。確実な準備で、許可取得への道を着実に進めてください。

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