11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス法」)が施行されます。同法は、フリーランスが安定的に働くことができる環境を整備する目的で制定されたもので、同日以後に事業者がフリーランスに対して業務委託をした場合は書面やメールなどで「取引条件の明示」をすることなどが義務付けられます

フリーランスとは、「業務委託」の相手方である事業者で次の者を指します。(フリーランス法2①一)。

(1) 個人であって、従業員を使用しないもの

(2) 法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの

(1)、(2)に共通する“従業員を使用”とは、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者を雇用することをいう。事業に同居親族のみを使用している場合は、“従業員を使用”に該当しないためフリーランスに該当する。同居親族が役員である場合は、(2)における“他の役員”がいると考えるためフリーランスに該当しない(公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)Q&A」Q3、Q16~18)。

また、「業務委託」とは次の行為をいう(同法2③)。

・事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む)又は情報成果物の作成を委託すること

・事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む)

フリーランスに業務委託を行う発注事業者の義務・禁止項目は次の通りです。

① 書面などによる取引条件の明示

② 報酬支払期日の設定・期日内の支払い

③ 禁止行為(受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し)

④ 募集情報の的確表示

⑤ 育児介護等と業務の両立に対する配慮

⑥ ハラスメント対策に関する体制整備

⑦ 中途解除等の事前予告・理由開示

「①書面などによる取引条件の明示」では、フリーランスに対して業務委託をした場合に、直ちに、次の項目を書面又はメール等により明示することを求めています(同法3)。

・業務委託事業者及び特定受託事業者の名称

・業務委託をした日

・給付・役務の内容

・給付・役務提供の期日

・給付・役務提供の場所

・報酬の額及び支払期日

・(検査する場合は)検査完了日

・(現金以外の方法で支払う場合)支払方法に関すること

また、「②報酬支払期日の設定・期日内の支払い」では、発注事業者は発注した物品等の給付を受けた日から起算して60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に支払わなければならないとしています(再委託の場合は、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)(同法4)。