有給休暇というと、労働基準法で定められている継続勤務している期間に合わせて年間何日付与されるかが決まっている年次有給休暇のことをイメージされる方も多いでしょう。しかし、ほかにも有給休暇と呼ばれる休暇があります。

法定休暇

法定休暇とは、労働基準法で定められている休暇のことを言います。先ほども触れた年次有給休暇は、法定休暇の一つです。
他にも、産前休業、産後休業、育児休業、介護休業なども法定休暇です。
これらは、労働基準法で従業員への付与が定められている休暇です。

1.年次有給休暇
 年次有給休暇は、雇い入れから6か月間継続勤務した従業員に付与しなければなりません。付与日数は異なりますが、正社員、パート社員に関わらず付与しなければなりません。正社員の場合は、次の通りです。また、有効期間(時効)は、2年間となりますので、未取得日数は翌年に繰り越すことができます。
 なお、従業員数の多い事業所では、基準日(例:4月1日)を設け、最初の6か月後に付与した後は、全従業員ともに基準日に次の日数の付与をする運用をしているようです。
継続勤務日数(日)  0.5  1.5  2.5  3.5  4.5  5.5  6.5以上
付与日数(日)    10   11   12   14  16   18   20
詳細は、厚生労働省の資料をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

2.育児休業
 子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間<パパ・ママ育休プラス>)、申出により育児休業の取得が可能となります。加えて、産後パパ育休(出生児育児休業)として、子の出生後8週間以内に4週間まで、2回に分割して取得できます。
 また、子の看護休暇制度として、小学校就学前までの子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を限度として看護休暇(時間単位で可能)の取得が可能となります。
 なお、育児休業期間中、賃金が支払われないなど一定の要件を満たす場合には、「育児休業給付金」が支給され、休業開始時賃金の67%(休業開始から6か月経過後は50%)が支給されます。育児休業給付金は非課税のため、所得税はかかりません。また、育児休業中の社会保険料は、労使ともに免除されます。

3.介護休業
 労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
 労働者として、正社員および取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないパート、アルバイト社員が対象となります。
 対象となる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。そして、対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申し出ることが必要です。
 なお、雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます。


特別休暇・法定外休暇

法定休暇の他にも、企業によっては付与される有給休暇があります。それを特別休暇と言います。
特別休暇は、企業が就業規則などで独自に定める休暇のことで、法律によって定められているわけではないため、法定外休暇とも言えます。
特別休暇は、企業によって種類も名称も様々です。例えば以下のような休暇があります。

  1. 年末年始休暇
    年末年始の期間を一斉に休んだり、日数だけ定めて一定期間の間に従業員が自由に休暇を取
    れるようにしたりと形は様々です。
  2. 夏季休暇
    夏季の数日を夏季休暇として一斉に休んだり、日数だけ定めて一定期間の間に従業員が自由
    に取れるようにしたりと形は様々です。
  3. 慶弔休暇
    従業員本人の結婚や出産、ご家族やご親族にご不幸があったときに付与される休暇です。理
    由に合わせて休暇の日数が定められている企業が多いです。
  4. リフレッシュ休暇
    従業員がリフレッシュしたいときに使える休暇です。勤続年数などで取得できる人を限定し
    ている企業もあります。
  5. 病気休暇
    体の病気だけでなく、心の不調で治療、通院、療養が必要な従業員に付与される休暇です。
    このように、有給休暇には法定休暇だけでなく法定外休暇もしくは特別休暇と呼ばれるもの
    があります。そのため、何かの理由で有給休暇を利用しようと考える際、法定休暇を使わな
    ければいけないと思い込まず、今回利用できる特別休暇が自分の働く会社にないか、調べて
    みると良いでしょう。