みなし労働時間制とは、実際に労働した実働時間にかかわらず、あらかじめ定めておいた時間の労働をしたものとみなす制度です。みなし労働時間制には、事業場外みなし労働時間制と裁量労働時間制があります。
また、裁量労働時間制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。

事業場外みなし労働時間制
労働基準法第 38 条の 2 による事業場外労働のみなし労働時間制とは、労働者が業務の全部又は 一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定 が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については 「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です。
適用要件は、①事業場外での従事、②使用者の指揮監督が及ばないために労働時間の算定が困難であること、となります。
主に、営業職に対して適用する場合が多いようです。また、在宅勤務についても適用要件が満たされれば適用することができます。

専門業務型裁量労働制
専門性の高い業務として、厚生労働省令等で定められた20職種に限定されます。
(1)新商品・新技術の研究開発または人文科学・自然科学に関する研究
(2)情報処理システムの分析・設計
(3)新聞・出版事業での記事の取材・編集業務または放送番組・有線ラジオ放送・有線テレビ放送の放送番組の制作のための取材・編集
(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告などの新たなデザインの考案
(5)放送番組や映画などのプロデューサーまたはディレクター
(6)いわゆるコピーライター
(7)いわゆるシステムコンサルタント
(8)いわゆるインテリアコーディネーター
(9)ゲーム用ソフトウェアの創作
(10)いわゆる証券アナリスト
(11)金融工学などの知識が必要な金融商品の開発
(12)大学における教授研究(主として研究に従事するものに限る)
(13)いわゆる M&A アドバイザー
(14)公認会計士
(15)弁護士
(16)建築士(一級建築士、二級建築士および木造建築士)
(17)不動産鑑定士
(18)弁理士
(19)税理士
(20)中小企業診断士
また、採用にあたり、労使協定において次の事項を定め、労働基準監督署に届け出なければなりません。
(1)対象業務
(2)1日当たりのみなし労働時間数
(3)業務遂行の手段、時間配分の決定等に使用者が具体的指示をしないこと
(4)対象労働者の健康・福祉確保措置が図られること
(5)対象労働者の苦情処理措置が図られること
(6)本人同意を得ること、不同意の労働者への不利益な取扱いが禁止されること

企画型裁量労働制
事業の運営に関する事業についての企画、立案、調査及び分析の業務で、その業務の性質上、遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、その業務に従事する労働者を対象とします。但し、次の4つの要件を満たす業務に限定しています。
(1)所属する事業所の事業運営に関する業務
(2)企画・立案・調査・分析の業務
(3)遂行方法を労働者の裁量に大きく委ねる必要があることが客観的に判断される業務
(4)業務遂行などに関して、使用者が具体的な指示をしない業務
導入にあたっては、労使委員会を設置し、次の事項を決議し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
(1)対象業務、対象労働者の範囲
(2)1日あたりのみなし労働時間
(3)対象労働者の健康・福祉確保措置が図られること
(4)対象労働者の苦情処理措置が図られること
(5)本人同意を得ること、不同意の労働者への不利益な取扱いが禁止されること

裁量労働制を導入するための手続きは煩雑なため、導入される予定の方は弊社までご相談ください。