2025.01.14
【お知らせ】女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について
昨年12月26日、厚生労働省の労働政策審議会は、厚生労働大臣に対し、女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化に ついて建議を行いましたので、今回は、その内容をご紹介させて頂きます。 今後、この建議に基づき、法律案要綱が作成されていくこととなります。どのような法改正がなされていくのか、情報の事前収集という視点でも、是非、 ご参考にして頂ければと思います。
1 . 女性の職業生活における活躍の更なる推進
⑴.女性活躍推進法の延長
○ 女性活躍推進法は未だその役割を終えたといえる状況にはないため、期限を10年間延長した上で、以下の見直しを行い、
更なる取組の推進を図る。
⑵.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実等
① 男女間賃金差異の情報公表の拡大
○ 支援策の充実等を通じて、改善に向けた企業による一連の取組を促すとともに、「説明欄」の更なる活用を促していく。
○ 情報公表の意義や効果について十分な周知を行い、取組の裾野を着実に広げていくことと併せて、常時雇用する労働者の
数が101人以上 300人以下の企業においても、男女間賃金差異の情報公表を義務とする。
(※ 301人以上の企業については既に義務化されている。)
② 女性管理職比率の情報公表の義務化等
○ 支援策の充実を図りつつ、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業において、新たに女性管理職比率の情報公表を
義務とする。
○ 女性管理職比率について新たに「説明欄」を設け、追加的な情報公表や、男女別管理職登用比率を参考値として記載する
ことを促す。
③ 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
○ 情報公表を行うに当たって「女性の活躍推進企業データベース」を利用することが最も適切であることを示すとともに、
国は、「女性の活躍推進企業データベース」の認知度が必ずしも高くないなどの課題の解消に取り組む。
④ 職場における女性の健康支援の推進
○ 事業主行動計画策定指針を改正し、企業が一般事業主行動計画を策定する際に女性の健康支援に資する取組を盛り込む
ことを促す。
⑤ えるぼし認定制度の見直し
○ 現行のえるぼし認定1段階目の要件について、認定制度は実績を評価するものであるということに留意しつつ見直しを
行う。また、くるみんプラスも参考にしつつ、女性の健康支援に関するプラス認定を設ける。
2 . 職場におけるハラスメント防止対策の強化
⑴.職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成
○ 雇用管理上の措置義務が規定されている4種類のハラスメントに係る規定とは別に、一般に職場におけるハラスメントを
行ってはならないことについて、社会における規範意識の醸成に国が取り組む旨の規定を、法律に設ける。
⑵. カスタマーハラスメント対策の強化
○ カスタマーハラスメント対策を、事業主の雇用管理上の措置義務とする。その上で、措置の具体的な内容は、
指針において明確化する。
○ 中小企業を含め、足並みを揃えて取組を進める必要があることから、国が中小企業等への支援に取り組む。
○ 業種・業態によりカスタマーハラスメントの態様が異なるため、厚生労働省が消費者庁、警察庁、業所管省庁等と
連携し、それを通じて、 各業界の取組を推進する。
○ 定義は、以下の要素をいずれも満たすものとし、詳細は指針等で示す。その際には、実態に即したものとする。
ⅰ.顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
ⅱ.社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
ⅲ.労働者の就業環境が害されること。
○ 「正当なクレーム」はカスタマーハラスメントに当たらないことや、対策は消費者の権利等を
阻害しないものでなければならないことなどを指針において示す。
○ 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、
これに応ずるように努めなければならない旨を法律で規定する。
○ 国は、消費者教育施策と連携を図りつつ、カスタマーハラスメントを行ってはならないことについて周知・啓発を行う。
⑶. 就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
○ 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するセクシュアルハラスメントの防止を、事業主の雇用管理上の
措置義務とする。
○ 具体的な内容については、セクシュアルハラスメント防止指針の内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、
指針において明確化する。
・ 労働者が求職者と接触するあらゆる機会について、実情に応じて、面談等のルールをあらかじめ定めておくこと、
相談窓口を求職者に周知すること
・ 発生した場合には、事案の内容や状況に応じて、被害者の心情に十分に配慮しつつ、行為者の謝罪、相談対応等を
行うことが考えられること
○ 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するパワーハラスメントに類する行為等については、パワーハラスメント
防止指針等において記載の明確化等を図りつつ、周知を強化することを通じて、その防止に向けた取組を
推進するとともに、社会的認識の深化を促していく。
⑷.パワーハラスメント防止指針へのいわゆる「自爆営業」の明記
○ いわゆる「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合にはパワーハラスメントに
該当することを指針に明記する。